岩波書店のPR誌『図書』の2024年2月号を見ていて、エッセイストの長坂道子さんの「ガザをめぐる雪合戦」という記事が目にとまりました。読んでみると、なんとこれがヴァレリー・ゼナッティの『瓶に入れた手紙』(文研出版/1650円:税込)について書かれたエッセイだったのです。長阪さんご自身もゼナッティの『ジャコブ、ジャコブ』(新日本出版社/2420円:税込)を昨年の8月に上梓されたところで、10月7日にハマスによるイスラエルへの襲撃が起こる前日に『瓶に入れた手紙』の原書を読み終わったばかりだったとのこと。そこから、ご自身の人生とも深く関係するイスラエルやパレスチナの歴史と人々についての考察が広がっていきます。今、恐怖と憎しみの真っ只中にいる人たちには難しいことかもしれませんが、せめてその外にいる私たちは「あちら側」と「こちら側」を分けて線を引き、一方的な正義感で礫を投げるようなことをしてはいけない――長阪さんのエッセイは、何もできない状況に鬱々としている私に「せめてこれだけは守らなければならない」大事なことを教えてくれました。長坂さんの言う「人間をその属性の一つに矮小化して憎んだり糾弾したりする誘惑」に打ち勝つための想像力を身につけるため、皆さんに『瓶に入れた手紙』のような作品の存在を知ってほしいと思います。
ナルニア国では『瓶に入れた手紙』の翻訳者の伏見操さんと、表紙の絵を手がけられたささめやゆきさんをお招きしたトークを3月下旬に開催します。また、4月には長くパレスチナの取材を続けてこられたジャーナリストをお招きした講演会も企画中です。いずれも詳細は近日中にホームページでご案内をいたします。皆さんが関心を持ってご参加くださることを、心より願っております!
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