ベスト👍 フィクション
『ねこもおでかけ』
朽木祥 作
高橋和枝 絵
講談社 刊
2023年12月 発行
1650円(税込)
143ページ
対象:小学校中学年以上
捨てねこをひろい、子ねこの秘密をさぐる ドキドキな1年間
小学生の信ちゃんは、公園で飼い犬の散歩中に捨てねこを拾います。ラブラドール犬ダンの足元に駆け込んできた茶トラの子ねこは、動物好きの信ちゃんの家族に引き取られ、トラノスケと名付けられました。カワイイ子ねこが家族に加わってからの日々が、信ちゃんの視点で描かれていきます。
無類の猫好きである著者が描き出す動物たちは愛らしく個性的で、恐らく犬や猫と暮らしたことのある人でしたらうなずく場面も数多いことでしょう。トラノスケのかわいらしさはもちろんのこと、子ねこがやって来た後で、寂しさのストレスからお腹を壊してしまうダンの様子など、物語中の動物たちの描写はとてもリアルです。子ねこの登場によって、小学生の信ちゃんの世界が身の回りの地域に広がっていくのも自然な流れとして感じられます。
さて、外に遊びに出るのが好きなトラノスケは、少し大きくなるとお母さんがいう「ねこのご用」で度々家を留守にするようになりますが、この間どんな用事をしていたのかな? 信ちゃんと一緒にトラノスケの後について、読者も謎解きをしてみましょう。
動物と一緒に暮らすって素敵だな!と心から思える楽しいおはなし。相手のことを真剣に思っていると、もしかしたら信ちゃんのようにトラノスケやダンの声が聞こえるようになる……のかもしれません(いや、やっぱり空耳かも?)
イラストを描かれた高橋和枝さんもねこが大好きだそうで、トラノスケの成長がお話の中にしっかり描かれています。トラノスケの全身の表情が秀逸です。(か)
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