クリーンヒット⚾ フィクション
『ローラ・ディーンにふりまわされてる』
マリコ・タマキ 作
ローズマリー・ヴァレロ・オコーネル 画
三辺律子 訳
岩波書店 刊
2023年5月30日 発行
定価2750円（税込）
296ページ
対象：中学生から
その恋は、あなたを幸せにしてくれる？
１７歳の少女、フレディが主人公。同性の恋人ローラに夢中ですが、気ままな彼女に始終振り回されっぱなしです。
人気者だけど、ちょっと軽薄なローラ。
そのローラから別れを告げられる場面から話は始まります。フレディが別れを告げられるのは、今回でなんと３回目！ 毎回大泣きして騒いで、でも気づくとよりを戻してる…。
男女を問わずローラみたいな人っているな～と思いました。ごく身近には接したことはないけど、この手の話は枚挙にいとまがないですよね(笑)。
切実な思いを丁寧に描いた作品。
本書はグラフィック・ノベルというジャンルにカテゴリされます。いわゆるマンガのような表現方法です。
絵とセリフで物語が語られます。日本のコミックとはちょっと違いますが、イメージとしてはそんなかんじ。この表現がフレディの気持ちを伝えるのにとてもぴったり。
言葉にできない思いが表情でわかる、みたいな。
絵の雰囲気もいいです。淡いサーモンピンクとモノクロで描かれていますが、この色使いがいいです！
若い人の感想も聞いてみたいな。
なんとなく吉田秋生のマンガ（『河よりも長くゆるやかに』や『櫻の園』、『吉祥天女』とか？）の読後感に似ているかもしれません。あ～、でも違うか？？？
ともかく味わってみてほしいです。
あ、あと思ったのが翻訳が大変だったろうな、ということ。セリフの枠内に英語を日本語にしなくちゃいけないなんて神業すぎます！ （す）
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