ベスト👍 絵本
『はるのひるねうた』
松野正子 ぶん
降矢なな え
福音館書店 刊（こどものとも年少版2023年4月号）
定価440円（税込）
24ページ
対象：幼児から
起こしているのは……誰？
小さい人と一緒に読んでみたいと思える1冊です。調子のよい、シンプルな文章に、言葉のイメージを増幅させるユーモアあふれる絵がつきました。
「ひとつ ひとりで ひるねして」「ふたつ ふたりで ひるねして」「みっつ みんなで ひるねして」といった具合にテンポよく進みます。とてもリズミカルで、なんだかだんだん楽しくなってきます。
楽しくなる要因に、絵があります。言葉には誰が寝ているか、どこで寝ているかといったことは書かれていません。それを画家の想像力で、物語を喚起させる絵がついています。
具体的にいえば、「ひとつ～」で草原で気持ちよさそうに寝ているうりぼうが描かれ、「ふたつ～」でうりぼうの横にたぬきの子が寄り添って寝ている姿があります。その後も、絵をよく見るとあっと驚く展開があり、笑いを誘うのです。
この文章を書くために何度も読み返しましたが、そのたびに思わず「かわいい」とつぶやいてしまいました。
月刊誌ならではの特典に挟み込みのふろくがあり、作者のことばが読めます。きっと数年後にはハードカバーになるだろうとは思うけど、子どもはあっという間に大きくなっちゃいます。小さい子がいるお家では、ぜひ今、手にしてほしいと思います。
読んでやれば未就学児でもじゅうぶん楽しめるでしょうが、小学校1､2年生くらいの子にも合いそうです。
画家の力を再認識させられた1冊です。 （す）
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