クリーンヒット⚾ ノンフィクション
『X線写真で見る生き物の世界 イノチノウチガワ』
ヤン・パウル・スクッテン 文
アリー・ファン・ト・リート 写真
野坂悦子、薬袋洋子 訳
今泉忠明 監修
実業之日本社 刊
2022年12月10日 発行
定価2860円(税込)
127ページ
対象:中学生から
生命の不思議と魅力を内側からのぞく!
まず表紙に釘付けになりました。かたちはカエルのようだけど、透明です。スケルトンだ! 不思議、なぜ?
それはX線写真で撮影した生きものの写真集という、大変稀有な1冊だからなのです!
骨折したり、虫歯が痛くなったり、病院でレントゲン写真を撮って見ることはあるでしょうが、こんなにさまざまな生き物のそれを見られるとは驚きです。
写真を撮ったアリーは長年病院に勤め、X線写真の撮影を多く手がけてきたそうです。そしてなんと、この本の写真は自宅の仕事場で撮影されたとのこと。病院で不要になった機械を譲り受け、練習を重ねて写真撮影の腕を磨いたんだとか。
撮影された生き物は「節足動物と軟体動物」「魚類」「両生類」「爬虫類」「鳥類」「哺乳類」に分かれて掲載されています。なかでも特に惹かれたのはマルハナバチ、カタツムリ、エイ、タツノオトシゴ、それから断トツでワライガエル! シュッとした脚は、ジェレミーフィッシャーどんを彷彿とさせます♡ ヘビやコウモリも何とも魅力的に感じました。
ヤンの解説文も読みごたえがあります。ただルビがないので、小学生にはかなり厳しいかと。ルビがあれば、10歳くらいの子どもでも興味を持って手にしてくれそうなのに、ちょっと残念です。でも写真の吸引力は強いと思うので、小学校の図書館でも置いてくれたらいいな。好きな子がどの学校にも何人かはいそうです。
生き物のもつ美しさを目いっぱい感じることのできる1冊。ぜひ、手にしてみてほしいです。 (す)
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