クリーンヒット⚾ フィクション
『トロリーナとペルラ』
ドナテッラ・ヅィリオット 作
長野徹 訳
北澤平祐 絵
岩波書店 刊
2022年12月6日 発行
定価1870円(税込)
110ページ
対象:小学校中学年から
イタリアで愛読されてきた、ユーモアあふれる現代のおとぎ話
川のそばのアシ原に暮らす「野暮らし族」の王族に生まれたお姫さまのトロリーナ。野暮らし族とは、姿は人間に似てはいるものの、背は低く、小太りで髪はちぢれていました。一見するとまるで子どものようです。ところで、野暮らし族の人たちは、本当のお姫さまは色白で金髪で、すらりと背が高くなくては、と思っていたのです。そこで、一族の長老たちはある時、母親の女王には内緒でトロリーナを都会生まれの赤ん坊と、こっそり取り替えてしまいました。
ふたりの女の子は、自分が元来所属している世界とは全く別世界で暮らしていくことになったのです。ふたりともすくすく成長し、周囲とは違う才能を見せるようになりますが…。
西洋に伝わる民間伝承のひとつ「取り替え子」がベースになったお話。でも『サースキの笛がきこえる』(偕成社)で描かれた世界観とは一味もふた味も違います。イタリアのお話のせいか、とっても大らかで、深刻さはほとんどありません。それでいて社会風刺とも読める場面もあり、ドキッとさせられました。
このバランス感がいいなあ、と思います。 (す)
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