クリーンヒット⚾ フィクション
『冬の王Ⅰ 熊と小夜鳴鳥(サヨナキドリ)』
キャサリン・アーデン 著
金原瑞人、野沢佳織 訳
東京創元社 刊
2022年11月11日 発行
定価1430円(税込)
487ページ
対象:中学生から

厳しい冬、人々を寒さと魔物が襲う~運命の軛に抗う少女の成長と戦いを描く三部作開幕!

久しぶりにガッツリしたファンタジーを読みました。おもしろいのに、なかなかページが進まなくて、ちょっともどかしかった! 進まなかったことの理由のひとつに、登場人物の名前がややこしかったこともあります(笑)。

中世のルーシ(ロシアのもとになった国)を舞台にした物語。領主の娘ワーシャは人には見えない精霊を見る力をもっていました。しかし生母が亡くなり、新しい母アンナがやってきて、彼女の運命は大きく変わります。熱心なキリスト教徒だったアンナは、精霊を悪魔と呼んで忌み嫌ったのです。
さらに都から来た司祭が精霊信仰を禁じ、精霊たちの力は弱くなっていきました。そして、ある冬、村を極寒と魔物が襲います。ワーシャは精霊を助け、魔物と戦いますが…。

読みごたえのある骨太なファンタジー。重い雰囲気がダークな世界観にぴったりです。

著者はアメリカ・テキサス州生まれ。大学でロシア語を学び、在学中に断続的に2年をモスクワで過ごしたそうです。また幼いころからロシア民話に親しんでもいたそう。物語の背景については、訳者あとがきに詳しいびで、気になった方は、ぜひ巻末のあとがきも読んでほしいです。本書がデビュー作とは、今後の活躍も楽しみです。 (す)

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