原書では絵本の形で出ていて、最初に翻訳出版された時は原書と同じスタイルだった本が、幼年童話の形で再登場している徳間書店のスロボドキンの本。原書は横書きなので、縦書きにするとお話の進行が逆になるなど製作には難しいところもあると思いますが、長い文章を横書きで読むのに抵抗がある私のような世代にはこの形の方が読みやすくて嬉しいです。また判型が絵本サイズだと、中身が幼児向けでなくても手渡しにくくなる年齢の子どもたちには「読み物」の体裁をとっていることで、手に取ってもらいやすくなるのではないかと思います。その意味でこの物語化(と勝手に読んでいますが)は、作品が生き延びる手助けにもなるのではないでしょうか。
9月の新刊として出版された『物語 王さまとかじや』は『物語 たくさんのお月さま』に続く2作目の物語化です。前作はちょっとわがままでかわいいお姫さまが主人公でしたが、今回はやりたいことも好きにさせてもらえない、小さな王さまが主人公です。すべて大臣たちの言いなり……かと思いきや、実は彼らが思っているより賢かった王さま、大臣たちをどうやって黙らせたのでしょう。
スロボドキンが挿絵を描いた幼年童話は、徳間書店、岩波書店、瑞雲舎などから数多く出版されています。ナルニア国の本棚にもあちこち入っていますので、ぜひ探してみてください。
『物語 王さまとかじや』ジェイコブ・ブランク文/ルイス・スロボドキン絵/八木田宣子 訳/徳間書店 1870円(税込)
『物語 たくさんのお月さま』ジェームズ・サーバー作/ルイス・スロボドキン絵/なかがわちひろ訳/徳間書店 1870円(税込)
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