オランダの子どもの本の女王と言われるアニー・M・G・シュミットの楽しいお話がまた一つ日本に紹介されました。
新型車両が初めてお目見えした駅は、オランダの二人の大臣や外国の大統領がお祝いに乗り込んでお祭り騒ぎの大賑わい!時間通りに出発させようと、駅員さんたちはてんやわんやです。ところが、発車の笛が今にも鳴らされそうという時に、小さな女の子が車掌のひげおじさんの腕を掴んで大声で叫ぶことには、「列車の下にハリネズミがいるの!」――それで出発が30分以上も遅れただけでなく、なんとこの列車に爆弾が仕掛けられていることがわかり……。
と聞くと、どんな恐ろしい展開のパニック小説かと思われるかもしれませんが、そこはシュミット。緊迫した状況の割にはなんともほのぼのとしたストーリー展開で、登場人物たちの会話や出来事に思わずくすっと笑いがこぼれます。お祝いの記念列車は無事に終点にたどり着けるのでしょうか? 皆さんもぜひヨリーとひげおじさんの活躍を見守ってください。
シュミットの本といえは挿絵はやっぱりこの人、ヴェステンドルプ! お話の雰囲気とピッタリの挿絵も魅力的です。
シュミットの作品は低中学年向け(写真左)と、高学年向け(写真右)があります。私はなんと言っても『ネコのミヌース』(元はネコの女の人ミヌースが、恥ずかしがり屋の新聞記者ティベを助けて大活躍する不思議で楽しいお話)が一番のおススメです。新刊発売に絡めて既刊本もご紹介できたら嬉しいな~と思います。
新刊『おてんばヨリーとひげおじさん』1870円(税込)
既刊『イップとヤネケ』2046円(税込)/『ペテフレット荘のプルック(上・下)』各2090円(税込)
→すべて、アニー・M・G・シュミット作/フィープ・ヴェステンドルプ絵/西村由美 訳
『ネコのミヌース』アニー・M・G・シュミット作/カール・ホランダー絵/西村由美 訳/徳間書店 1540円(税込)
『アーベルチェの冒険』『アーベルチェとふたりのラウラ』アニー・M・G・シュミット作/西村由美 訳/岩波少年文庫 792円/836円(税込)
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