ベスト👍 フィクション
『コピーボーイ』
ヴィンス・ヴォーター 作
原田勝 訳
岩波書店 刊
2020年3月 発行
本体1800円+税
302ページ
対象:中学生以上
少年は河口を目指す、大切な人との約束を果たすためにーー
前作『ペーパーボーイ』(岩波書店)から6年後、大学入学前に新聞社でコピーボーイとして働くヴィクターは、
恩人であるスピロさんが亡くなったことを知る。生前スピロさんと交わした約束を果たすために、
ヴィクターは一人、ミシシッピ川の河口へと向かう旅に出た――。
吃音のため、他人とのかかわりを恐れてきた少年は、6年の間に大きく成長していました。
彼に大切なことを教えてくれたスピロさんは、亡くなった後もこの物語の中で誰よりも大きな存在感をもって読者に迫ってきます。旅先での出会いや恋を通じてさらに大きく成長したヴィクターが、故人に託され言葉の意味を心に刻んで歩んでいくことを確信できる結末は、非常に感動的です。 (か)