彼の遺産目録にはそうした書物の一覧がありますが、その大半は散逸してしまいました。
しかし、幸運なことに、バッハにとって最も大切な書物であった三巻本の聖書はアメリカ・セントルイスの或る図書館に現存することが分かりました。
この聖書はバッハ自筆の書き込みがある、彼の生涯に関する最重要資料の一つです。この度、本書のファクシミリ版が出版される運びとなりました。
バッハに関する最も貴重な資料のリプリント
2013年の夏から、原著の細部に至るまでを再現した完全なファクシミリ版の『バッハ・カロフ聖書』の製作が始まりました。これはアメリカ・ポーランド・オランダ各国のエキスパートたちの共同作業によるものです。
まず、この大部の聖書はアメリカのセント・ルイスで可能な限り高解像度でのページごとのデジタル化が行われ、次にそのデータがポーランドでファクシミリ版作成のための高い印刷・製本技術をもつ専門家たちによって処理されました。そして、オランダの出版社ファン・ヴェイネン社がこのファクシミリ版刊行の権利を獲得し、このプロジェクトを主導しています。
バッハの音楽と世界とに深く関わりを持つ方々にとって、実物そのままのファクシミリ版聖書をお持ちになるということは、とても魅力的なことでしょう。
この『バッハ・カロフ聖書』ファクシミリ版は、これまでファクシミリ化されたことはありませんでしたので、世界初の偉業と言えます。
ファクシミリ版の特徴